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対話7 MMTやマルクス的な貨幣観(1/2)

かるちゃん、この件なんだけど

マネーに関するMMT的なビュー図を作ったり、対話したりとかやりたいのです。
よければ sorataさんも!

事の起こりは中村哲治さんのこれで

この文章をめぐるSNSのやりとりで中村さんはこう書かれている。

中村哲治
@NakamuraTetsuji

返信先: @Moka_Wisdomさん
モカさん、私は「国債をいくら発行しても、それは国民の資産になるから問題なし」なんてことは言っていません。 私がブログで書いていることも基礎勉強会で説明していることもオーソドックスな金融のしくみから説明しています。私の記述や説明内容に対して具体的なコメントをいただきたいです。
午後11:57 · 2021年11月3日

モカさんは、
「民間部門にとって国債購入により、預金が国債に代わるだけなので、資産は増えないと思います。
むしろ政府支出のことを仰っているものと推察します。」
と言われていて、これはむしろ正しい

わかりました
では賃労働の合間に読んでみます

中村さんいわく、

「民間銀行が国債を購入+政府支出+民間銀行が民間非金融に預金設定→信用創造が起こり民間非金融に金融資産として預金が増えるという流れになります。
(=マネーストックが増えます。)」

この信用創造という言葉に注目します

もし話し手と聞き手が信用創造という言葉の意味を共有しないなら相互理解はできないわけですが、中村さんが言っている「信用創造」って何でしょうね?

銀行の貸し出し?ローンとか

そうですね、「普通」は貸出だと思います。
ところが、中村さんの例だと銀行貸出はないわけです。はて?

政府支出のことを信用創造と言っている?

そうだといいのですが、もしそうならモカさんとの争点はない。

中村さんのこの発言。。。

中村哲治
@NakamuraTetsuji

返信先: @Moka_Wisdomさん
なるほど。あなたはそう思うのですね。 ただ「国民の資産が増える」という言葉が私の「特異な考え」と評価するのはあなたの特異な考えです。 「国債は「国の借金」か「国民の資産」か」は既に争点化しています。ジャーナリストの鮫島浩さんが書かれた記事を紹介します。
午前8:40 · 2021年11月4日

ん-、結果的に「国債が増えている」ということを「信用創造が起こった」と呼んでいる?
あるいは
(=マネーストックが増えます。)
という記述から、マネーストックが増えることを信用創造が起こったと呼んでいるか、どちらかです。

まとめると中村さんは
 1.銀行が関与
 2.マネーストックが増える
この二条件が成立することを「信用創造」と言っている。

そう考えれば、銀行貸出、ローンは「信用創造」にちゃんと包摂されているわけです。

さらに、
 3. 政府が関与する信用創造は、結果として国債が増えているという「事実」を主張されているわけですね。

でも

事後的な解釈を「ほら事実!」と言ったところで世界は変わりません。

Es kommt darauf an, die Welt zu verändern.
(重要なのは世界を変えること)
マルクス


To change the world, we have to quickly change our thoughts. Thoughts are the only thing we really have.
(世界を変えたいなら、私たちが思考を変えること。私たちが本当に持っているものは思考だけだから。)
オノ・ヨーコ

中村てつじさんの信用創造の定義

おおズバリだったw

中村てつじさんは、銀行貸出のことを「信用創造の第1の経路」と呼び、政府支出で銀行預金が増えることを「信用創造の第2の経路」と呼んでいます。

ふむふむ
「日本銀行が生み出したお金のことを「マネタリーベース」と呼び、市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているお金のことを「マネーストック」と呼びます。この二つの差、言い換えれば、市中銀行がお金の量を膨らませることを「信用創造」と言います」

その定義は教科書からの引用ですね。

そうですね。
ですので、それを思わず「ザ・主流ビュー」と呼んでしまったわけです。

なるほど。まだ流れが追えてないです。

ということになった次第。

流れを把握しました

「日本銀行が生み出したお金のことを「マネタリーベース」と呼び、市中銀行によって膨らまされて民間に流通しているお金のことを「マネーストック」と呼びます。この二つの差、言い換えれば、市中銀行がお金の量を膨らませることを「信用創造」と言います」

ではここで
「マネタリーベース」を、MB
「マネーストック」を、MS
としましょう

【MS – MB】が増えること、これが信用創造である!

えっとさ
「【MS – MB】が増えること、これが信用創造である!」って、これにいったい何の意味があるのかしら。

「特に意味はない」

まあ、そうなんですが。。。

中村さんのブログに以下のすばらしい文章がありました。
引用して、一部を強調いたします。

「これに対して、国債のことを「国の借金」と呼ぶ現在の主流派の立場は、財政を緊縮させ、国民に十分な公的サービスを受けさせないことが、正しいと主張しています。しかし、彼ら財政緊縮派の立場によりこの30年間日本で実践されてきた経済政策では、例えば、就職氷河期世代以降の人やシワ寄せを受ける女性の方たちは、労働の非正規化、分断化で、とても厳しい生活を強いられる結果を導くこととなりました。そして、彼ら財政緊縮派は、非正規で働く人たちの苦しい生活を「自己責任」という一言で片づけ、環境を整えることを放棄しています。彼ら財政緊縮派は、将来の世代が豊かに暮らすことができるようにする芽を摘んでしまっています。実際に、この30年間日本で実践されてきた経済政策の結果、一部の人たちだけが富を巻き上げ、多くの人たちは生活に苦しむ社会構造が固定化されるに至っています。
しかし、そもそも世界一の純債権国として世界各国の人たちから「お金持ちの国」と認識されている日本において、非正規化や低所得化で人びとが生活に苦しんでいるということは客観的に見ればこっけいにさえ見えることです。
一部の人たちが富を収奪する構造を変えるためにも、事実を事実として認識できる「場」がすこしでも多く社会に存在していることが必要です。だから、私は、私にできることとして、その事実を共有することができる一つの「場」として「お金のしくみ」の勉強会を続けていこうと考えました。またその「場」を維持していくためにも私自身がより人の話を聞き、また、自らの表現もより磨いていかなくてはならないと考えています。」

中村哲治「日本再構築」ブログ 2021年頭所感「本当の意味での「将来の世代への責任」」

二つ問題があると思います。

一つは、主流派=「緊縮財政派」という誤謬

もう一つは、中村さんご自身のビューがご批判されている主流派のビューそのものである、ということですね。

【事実を事実として認識できる「場」】と言うならば、もっとちゃんと観察しようではありませんか!(マルクスのように)というわけ。

MMTの貨幣観を考えるためのとても良い素材が回ってきています。

このさしみさんのまとめですが、nyun にはどうしても「?」となる箇所があります。
どこだかわかりますか?

政府支出の制約が物価というところですか?

そこもですが、より根本的なとこなのです。
ひっかかるところというか。

たぶん、かるさんも「言われればわかる」と思います

貨幣が生み出される?

そこです!

貨幣っていうとなんかコイン、硬貨だけって感じがする

政府支出は日銀に振り込んどいてって依頼するから電子的な記録で銀行預金が増えるイメージ。

うん。
間違いではないのだけど、MMTの話としてなら???ってなるわけ。

ただ、ことの起こりは日本語の「貨幣」「お金」という言葉は英語の money は概念からして異なっていることですね。

前回のかるちゃんとの対談で「経済学の貨幣の定義は無意味にとても狭い」と説明しましたが、まさにあれ。

さしみさんにその意図がなくてもそう読まれてしまう

なるほど

彼ら主流の定義を再度

なので自分は貨幣の代わりに、日本人に馴染みのないIOUを使ってます。

なるほど!

普遍性、ユニヴァーサリティ

ここであえて話を変えてみます。
普遍性、ユニヴァーサリティという概念なのですが。

https://www.gakushuin.ac.jp/~881791/r.htm

こちらの方が良かった
普遍性とはなにか?
数理科学 1997 年 4 月号、「くりこみ群と普遍性」から抜粋

力学の法則、流体の法則などの物理法則は、地球上どこに行っても現れていて観察することができます。
これはとても不思議なことではないでしょうか?

植物の種類はそれぞれ違っても、花から実ができて種ができるというような共通する性質を持っている。
そういうのが普遍性、ユニヴァーサリティですね。

言葉はもっと不思議で、力学の法則は海外のコドモでも同じように理解することができる、とか。

もちろんそれだけではなく、悲しいとか楽しいとかの共通した言葉を、いったいどうして私たちは互いに了解することができるの?

かるちゃんと nyun は会ったことがないですが、会話が通じるのはなぜ?

えーなんでですかね?

なにか共通するものがあるから?

同じ教育を受けたから、というのは説明になっていなくて、外形的に同じ教育を受けた他者がいったいどうして意思疎通できるのか?みたいな問題ですね。

言語空間

そこで同じ言語空間(language space)にいる、というような概念を先に想定するわけ。

とにかくユニヴァーサリティ(普遍性)めいたものがある。

なんとなく、伝わったかなあ

その言語空間の普遍性は日本のなかでの普遍性で、力学の普遍性は地球の中での普遍性?

人類はどこでも言語を使っているので人類の普遍性と言えます。

さて、財政支出でうまれ税金で消えるのはいったい何でしょうか?

政府のIOUですか

具体的にはなんでしょうか?

政府支出は、政府の当座預金口座から民間の業者の銀行口座に振込してました。
税金は給与から天引きされたり個人の口座から引き落とされる場合しか経験がないので、どうなるのかよく分かってないです。

なんかスッキリしないですよね

確かに

銀行があいだに入ってるから?

統合政府のIOUと考えると、上の本に出てくるように日銀券、日銀当座預金(以上は日銀のIOU)、そして硬貨、国債(以上は政府のIOU)と言うことになります。

そして
G-T≡ΔM+ΔB
である。

このMはベースマネー(MB)で日銀券、日銀当座預金、硬貨。
そしてBは国債。

⊿は変化量でしたっけ?

G-Tは民間部門にある統合政府IOUの量で、日銀が国債を購入してもMとBの割合が変わるだけで、統合政府IOUの総量は変化しない。

この式はユニバーサルな感じがします。

どの通貨でも成立する、ということでユニバーサルですね

主流がぜったいに触れない現実のマネー

先日話していたかるちゃんマネー

あれはお子さんのお手伝いポイントでしたね。
1ポイントが一円だから、それは円建てのIOU。

仮に今、次のようになっているとします。
 長男 100ポイント(円)
 長女 200ポイント(円)
 次男 300ポイント(円)

はい

彼らの持っているIOUはこれが全部ですかね?

彼らにとっては誰のIOUでもいいわけです。

たとえば、なんとパパも同じことをしていて、それはこうだとします。
 長男 200ポイント(円)
 長女 100ポイント(円)
 次男 100ポイント(円)

あれれ、IOUの発行者が二人いますね。
でもこの二人は夫婦だし、統合政府みたいに一体とみなせそうですよね。

母マネーが政府IOU、父マネーが日銀IOUみたいに。

あまーい
こういう可能性も!

もしかすると、ある日。。。
    母マネー 父マネー 知らないおじさん
 長男  100   200   0
 長女  200   100   0
 次男  300   100   1000

げげ!これは!

ぼうや、
おじさんがいいもの買ってあげるよ…

次男が危ない!

子どもたちがどれぞれどれだけIOUを持っているかは計算することができますよね。

んーそれどころじゃない!

かっこの中にそれぞれの合計を書いてみました。 

             母マネー 父マネー 知らないおじさん
 長男 (300)     100 200      0
 長女 (300)  200    100      0
 次男 (1400)   300         100                  1000

にゅんさん!!あなた人の心は!

犬です

後編につづく


2件のコメント

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