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対話8 MMTやマルクス的な貨幣観(2/2)世界一よくわかるマネーのヒエラルキー

前回1/2はこちら

三人の子供たちが持っているカルちゃんマネーの表を見やすくしてみました。

次男はかるちゃんが知らない人から「この紙を持ってくれば1000円分の何かを買ってあげるよ」という紙をもらって持っているという設定。

(設定なのだった)

今度は、かるちゃんが所有しているいろいろなIOUも同じように書くことができるわけ。
硬貨は政府のIOU、お札は日銀のIOU、銀行預金は銀行のIOU。

私の持っているIOUの内訳は。。。
政府のIOU(硬貨)、日銀のIOU(お札)、銀行のIOU(預金)となりますか

そうですね、こういう感じと

xxxx は数字が入ります

ほかにもあるのでは?

ペイペイとか

美術館の割引券とか

ありますね

あと、大人の人は自分が発行したIOUがないですか?

夫とはポイントをやり取りしたことがないですけど、やろうと思えばできますね

たとえばクレジットカードの残高とか?

まだ引き落とされていない額です

あ!クレジットカードの残高はカード所有者のIOUなのか!

そうですよ。
現金を支払うかわりに、かるちゃんがIOUを発行してお店に受け取ってもらったというわけ。

子育て世代の多くの人はもっといろいろなIOUを発行しています。

え〜?

まだ払ってない今月の給食費とか?

ですよね

住宅は賃貸ですか?持ち家ですか?

賃貸です

じゃ家賃も!

なんなら光熱費も

そういうことになるんです。
その日までの未払い分は、後で払うからねということでかるちゃん「が」大家さんや電気会社にIOUを発行している。

IOUだらけ!

後払いになってるものってIOUだったのか〜意識したことありませんでした

表に入れると。。。

なるほど!
色分けするのですね。
黒は自分以外が発行したIOUでつまり資産、赤は自分自身が発行したIOUつまり負債。

そうです!
赤は借金、つまりマイナスの金融資産ですから。

青字、合計のところが各自の正味の金融資産が現れます。

自分は(人間の姿で)就職したあと、カードの支払いが大変なことになりそうだったので、毎月これを作っていました。
今思えばそれがMMTの理解にすごく役に立ったとよく思います。

私の金融資産は、政府、日銀及び市銀のIOUの合計額から自分の発行したIOU(子どもたちへの支払い、家賃光熱費、給食費とか)を差し引いた額になりますね。

かるちゃんはお仕事をされているから、労働債権があるのでは

今月もらえるはずの賃金ですか?

給食費と同じに考えると。。。

雇用主の発行したIOUですね

すでに労働した時間分については確定しています

表のすべての項目は刻々と変化しますよね。
一度表を作ってみませんか?項目だけでOK

表計算ソフトお持ちですよね?

やってみます!

自分は上の表、google のスプレッドシートで作りました

待ってまーす\(^o^)/

列は IOU の発行者、行はIOUの受取り手というふうに統一して作ってみても良いですか?

まずは自由にやってみましょう

できた!

知らないおじさんは別世帯ですよね。
切り離しておきましょう

なるほど!

あとカードの未引き落とし分くらいは

かるちゃんはあまりカード使わなそう?

これでどうでしょう

できた\(^^)/

わーい(*´▽`*)

世帯の正味のお金が把握されるわけです

なるほど。これなら今月ピンチとか事前に察知できそうです。

毎月、同じ日におなじ基準で作成すると、とてもよいです

あと一つ思ったんですけど、うちはスーパーの電子マネーを毎月数万円購入してそこから食品を買ってるんですけど、これも入れてもいいですか

むしろ入れないとだめです

(けど家族や税務署に隠したいときは隠します)

入れます!

さて。
英語の「マネー」、特にMMTやマルクスが言おうとしているマネーは、この表の全体のことなんです。

日本語の「貨幣」とは違いますよね。

たしかに

紙幣やコインや借用書はそのトークン。

紙や金属は、マネーを保持する媒体です。

レイの「MMT入門」でも、原文を精確に読めばこのことが説明されていることが分かります。

翻訳本ではちょっと何言っているかわからないけれど(笑)

なるほど

このような誰かさんの「貨幣の定義」とはまるで違う話なんですね、最初っから!

 勝俊/シェイブテイル【バランスシートでゼロから分かる財政破綻論の誤り】より

この違いが「ビューの違い」

なるほど!

すごく身近で、まさに現実の生活の話。

MMTやマルクスの思考は現実から出発して、現実を離れない。

すごくピンと来ました!理解できる話。宙に浮いてない感じ。

本当はもっと細かいです。

賃金のところ

これは手取り?

手取りを想定してました

賃金はもっと多いと思います

つまりですね

手取りをイメージした時に、引き落とし予定の未払い負債を合計しちゃっているわけ。

分けて書いてみましょう。

お手元に給与明細をどうぞ(笑

やってみます

財形貯蓄のようなものは資産ですね

作ってて腹が立ってきた!なんで賃金からこんなに天引きされないといけないの!ヽ(`Д´)ノプンプン

来年は住民税も来るからもっと引かれる!

この厚生年金保険見てくださいよ!

全部の控除額合計したら43919円も引かれてるんですよ!

さてこれは資産?負債?

ご意見は?

わたしにとっては負債です!
(キッパリ)

きっぱり!
あてにならんし

そうですよ!

これをやっていると怒りが涌くわけですが。。。

MMTのマネー観の話でしたね。

ええと、こうやると各主体の現実的な正味のお金を把握することができました。
個人単位に分解することもできますし、合計することもできます。

また教育ローンや住宅ローンや自動車ローンが残っていて、正味のお金がマイナスになっている人はすごく多いです。

ちょっと前まで奨学金を返済してました

この表でいえば赤字の部分に相当する奨学金、つまりマイナスのお金がたくさんあったのが、こつこつ返済することでだんだん減って、最近になってようやくゼロになったということですね。

なるほど

初めのころは「正味のお金」がマイナスではなかったですか?

卒業して就職したころは当然そうでした。マイナス300万くらいです。

一息ついても、お子さん三人だと教育費が心配ですよね

そうなんですよ!

どのくらいかかるのかとか、どんどん学費が上がっていきそうだし

私立に行きたいとか言われたらとか、県外に下宿するとか

ひどい国になってしまいました

そこでローンを使うとまたマイナスになる

働いても働いてもマイナス!

こうやって正味のお金のことをちゃんとかんがえると権力関係がよく見えてきますね。

なんかこう悪い労働条件でも働かざるを得ないような状況を政府が作ってる感じですか。生かさず殺さずで。

政府が作っているというか、マルクスが分析した通りで、資本の論理で必然的にそうなってしまうんですよね。

資本の論理っていうとなんだろう。経団連とか?と思ったけど、もっとユニバーサルな概念ですよね。

将来のために保険料を払うとか、お金を貯めるとか

今の生活を犠牲にして

うん、そのへんはこれから始める「資本論をちゃんと読む!」の方でやるとして。

言えることは、マネーというものをこのように把握すると「インフレまで財政支出!」みたいな議論とはまるで違った現実の議論になる、という点は覚えておきましょう。

そしてそれは、マネーを「フロー」でなく「ストック概念」として把握するということに近い。

だからバランスシートが重要であり、それは資本論に通じるところであると。

先ほど作った表はまさに家計のバランスシート(のIOU部分)ですから。

通貨建てIOU空間

いま作ったようなIOUバランスシートは、同じ基準を適用して日本じゅうのあらゆる個人および法人に適用することができますね。

そこには「知らないおじさん」も「学校」も「保険組合」から、「日本銀行」「政府」もです。もっと言えば、海外の政府や国際機関や個人が円建てのIOUを持っている場合ももちろんあるでしょう。

ちょうど前回、「日本語の言語空間」を想定したのと同じことでして「円建てIOU空間」を想定することで確かな議論ができるようになるわけ。

恣意的な経済学とは違って、MMTやマルクスはとても科学的なんです

円建てIOU空間、なるほど!

こう考えると、すごいことがわかるんですよ。

にゅん自身も「正味のお金」をほとんど持っていないというか、住宅ローンでめっちゃマイナス。
だから今日もほかにやりたいことがあっても、収入を得るための仕事をするしかない!
多くの人はこんな感じだと思うんです。

正味のお金を同じルールに基づいて評価すれば、これは思考としてそんなにむつかしくないはずですよね。
経済学者はどうしてこれをやらない???

わんわんわんわん

スイッチが入った

そして、驚くべきことは。

「円建てIOU空間」の全主体の「正味のお金」の合計は確実にゼロである、ということ。
これはすごいことですよ。

すごい(^o^)
でもそしたら私達が働いても働いてもマイナスで、政府もたくさんマイナスってことは誰かがプラスをしこたま持ってるってことですよね。

それを言いたかった!

やった(^o^)

統合政府以外のあらゆる主体の「正味のお金の合計」は、統合政府の純負債と一円もずれることなくピッタリ等しい。これ会計的事実! 

これがユニバーサルな把握の威力なんです。

ちゃんちゃん

ちょっとまとめてみませんか?

はい

経済学で扱われる「貨幣」?ってこんな感じ

現金もありますが、量は少ない。
内側のマルに入れればいいでしょう。

で、内側の貨幣(ベースマネー)が預金を作り出す、というような。
そのことを『信用創造』と彼らは「呼ぶ」。

でも英語とかMMTのマネーは、こんなイメージなんですよね。

おおお、これは★

債務ヒエラルキーとか、負債ピラミッド
(手形や社債もほしいけど)

ケルトンのアレのようなものが、できました!

ピラミッド…

\(^o^)/

そういうことなんですよね。
経済学は、世界の把握がおかしい。

マンガにしてみました

あ、いけない。

あわてて追記。。。

上から二つ目の表は、こう書く必要がありました。わかりますよね!


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