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対話13「saving desire(貯蓄欲求)は政府行動の関数だ」ヘッドホン

>(元々は,前回の記事に続いて「101」その2?を書くつもりでいて,しかも書く内容としては限定を加えてはいなかったものの,例えば「機能的財政」(Functional Finance)という話を「関数(函数)」(function)の話と結びつけて書いてみようなどと思っていた。)

>function 関数は、函という字が常用漢字から外れたとかで無理やり字が変わったんじゃなかったかしら

函館の函(はこ)が函数の字と同じですな

分からない部分も沢山だけど、

>あれはMMT思考からすると興味深くて、もし貯蓄が2000万円「必要」ならばそうなるような、それを実現する財政支出と税の設定を決めなくてはならないんですよ。そうでなければ死んでねって意味になる。。。

ここはめっちゃよく分かった。

変数yは変数xの関数(函数)である,ということの定義は,変数xの値を一つに定めたら,変数yの値がただ一つ出力されるということ

y=f(x)なんて書かれるのを見たことがあるとすれば,このf()というのが函数fのことなんですよ

そしてこの函数fというのが,ブラックボックスであることもある

ベルトコンベアに乗っけられたある値xさんが,よく分からない函を通過するとあら不思議,ある値yとなってしまう★

y=3xみたいな函数であれば,ブラックボックスの度合いははるかに小さくなるんですよね

x=2という値をその式に入れるとy=6という値が出力される

さて,ここで「機能的財政(functional finance)」の話です。

機能的財政というのは,MMTの世界ではアバ・ラーナーが唱えた「機能的財政」の原則を発展させたものとなります。

例えば,ラーナーがいうには…

失業が存在しているということは,政府支出が少なすぎるか租税が多すぎることの現れである

とのこと

そしてラーナーは「健全財政(sound finance)」を目的とすることに異議を唱えた。

健全財政というのは,政府支出と租税収入とが均衡する(結果として同じ額になる)ことを財政の基本とする,ということですね

ちなみに財政政策(fiscal policy)というものは,政府支出と租税,に関する政策ということになりますね

函数fを函数gに変えると,fとgがアイデンティカル(常に等しい)ものでない限り,入力xと出力yのペア(x, y)は,同一のものにはならないんです。

例えば函数fをy=2x=f(x)とし,函数gをy=3x=g(x)とすると,(x, y)=(0, 0)以外における点において,入力xを同じ数値にしたとしても出力yの数値は異なるものが出てくることになりますね。

ここで挙げた例は,中学校で習っているであろう「比例」という函数になります。

そういえば,にゅんさんが訳していたと思われるミッチェルのブログ記事で,家計と民間企業並びに政府というエントリーから始めて,その後に海外部門や金融機関をエントリーとして加えていきながら,マクロ的な貨幣の投入と漏洩,について扱った記事があったと思うのです。

>これはマクロ経済における均衡の概念を理解するのに役立ち、均衡が「市場の清算」や完全雇用を意味しているとする主流経済学者の考えを払拭するものだろう。

どういうわけか経済学を専攻する羽目に追い込まれた人間たちにはですね,「均衡」と言ったら無条件に良いものであって,不均衡と言ったらバランスが保たれてないから悪いのだ,ということが刷り込まれるんです

ここではいわば,函数が一つに固定されてしまっているということになります。

ところが,ミッチェルがその記事で表しているように,均衡と一言に言ってもさまざまな水準での均衡が考えられるわけです。

面白くなってきた

働くことが法的に許されている人々のうち,働きたくても働けない人々が10%を占めていたとしても,マクロ経済が「均衡」することだってありうるわけですね。

入力xに「均衡」を代入すると出力yが「良い」という値しかならないような函数を採用していると,働きたくても働けない人が一定数いるのに,こういう人たちの存在は無視されてしまうわけですね。

そこで「機能的財政(functional finance)」の出番です。

入力xに「均衡」を代入したからといって,必ず出力yが「良い」となるような函数しか考えてはならないのか!

むしろ「均衡」を代入したら「悪い」が返ってくる函数だってあり得るかもしれない

だから,少なくとも完全雇用と物価安定というものが,限りなく維持し続けられるような,そんな函数を考えていきたいわけですね

完全雇用と物価安定とかきましたが,ここはどういう公共目的を出力として出したいか,ということに関わってきます。

どうして「公共」目的であって「私的」目的ではないのか。

それは通貨が公的独占であるからですね


そして,MMTは他の経済学と異なって,政府というエンティティ(主体)を中心に添えて,言説を展開していきます。

いろいろ話してきましたが,長い話を短くすると, 入力に対する出力の出方を決定するといえる函数について,いろいろ考えましょう,というのが機能的財政ということになりましょう。

それを経済学の用語で表現すると,完全雇用だとか物価安定だとか,になるわけです。

一旦ここで話を止めておきます(文字を入力するのに疲れたためです★)

あはは、まあ functional ということについての自分の見方はちょっと違うのだけど、転載してしまおう…

ついでに、わたくしの見方

これはそのラーナーの Functional finance and the federal debt からだけれど、results(結果)とか effect(効果)のみから財政を判定しようという思想ですね。

The central idea is that government fiscal policy, its spending and taxing, its borrowing and repayment of loans, its issue of of new money and its withdrawal of money, shall all be undertaken with an eye only to the results of these actions on the economy and not to any established traditional doctrine about what is sound or unsound.
This principle of judging only by effects has been applied in many other fields of human activity, where it is known as the method of science as opposed to scholasticism. The principle of judging fiscal measures by the way of function in the economy we may call Functional Finance.

ヘッドホンは均衡が入力だというけれど、この考えで行けば「均衡」は results, effects の方だと思うよね。

政府が兵士(公務員)の給料を二倍に昇給すると、物価水準の均衡が変化して新しい均衡に落ち着く、みたいな。

最近気に入っている物価水準の図を使うと、こう

もし「インフレ」がここで言う表全体の変化のことなら意味がある、というなら理解可能だけれど、消費者物価指数と企業物価指数と言われても…となる。 GDPデフレータ―は論外やね

ラーナーはインフレを何だとおもっていたのだろうね
財政赤字額、で制御できるようなものと考えているように読める

と言いますと?

随所で感じるけれど、たとえばこのへん

金利も財政支出なわけだから…

results, effects で評価せよ、「財政赤字を気にするな」と言っている、くらいでは?

インフレについてはまともじゃないんじゃない?これ

貨幣数量説をラーナーは受け入れている感じなのかどうか

でもさー、よく考えたら「貨幣数量説」って何だろう?
あるいは「貨幣数量説を受け入れる」とはどのような事態?

考えてしまう

貨幣数量説(かへいすうりょうせつ)-三井住友DSアセットマネジメント

貨幣量という言葉に対して,それを当然視している態度,という事態でしょうか

”物価の上昇や下落は貨幣数量の増加や減少に比例するとする学説。米経済学者フィッシャーの交換方程式では「物価(P)×生産量(T)=貨幣数量(M)×貨幣流通速度(V)」で表します。中央銀行が物価上昇率の目標を達成するためにマネタリーベース(資金供給量)を増加させる量的金融緩和策は、貨幣の数量が増加すれば物価も上昇するという貨幣数量説の考え方に基づいています。また、経済の変動の主因が通貨量の変動にあるとする理論も貨幣数量説と呼ばれることがあります。”

ああ、最後の「経済の変動の主因が通貨量の変動にあるとする理論」

比例関係のような一定の定数はないけれど、「ちょうどよい統計量Mがある」という思考を感じるわけです
物価(P)って具体的に何よ?とか。。。

そうすると、あのシンクの絵はなあ。。。

レイの本やケルトンの説明の?

うん
ケルトンはこの絵を気に入っているのかな。
ただ、インフレーションが overflow かというと。。。

このサイトで今読んでいるモズラーは、その前に「インフレっていったい何?よくわからないよね」とちゃんと言うわけだ。

ワタクシにはケルトンがこの図を使うのはミスリーディングだと思う。
むしろ文にしてあるここは共感するけれど、こっちはみんな読まないのでは(笑)

But we don’t have a very good understanding of inflation

シンクの図は物価水準に結び付けないで「ここに溜まっているのが saving desire によって民間に残っている分です」と言えばよいか

saving desire(貯蓄欲求)は政府行動の関数だ,というのが,「どういうわけか」政府支出の額を先に決定しよう,という論法に繋がってしまう人もいる?

ああそうだね!
あるいは「財政赤字の額」を決めたい人もいる。MMTと称して(笑

んで、内容をすっ飛ばしてインフレとかデフレの議論に大ジャンプ。

それもCPIとかGDPデフレータのような、価格水準全般を考えたいときにはまるで意味がない指数だったりする

名言化された★

民間部門に貯蓄することを推奨するような租税体系を政府が採用しておきながら,民間部門に支出をしてほしいと政府がお願いするという…

租税の体系は支出の体系よりも強力である

みたいなことをモズラーは言っていたような


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