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レイのMMT入門をグラフモデルで表記してみる:政府支出編

 「レイのMMT入門をグラフモデルで表記してみる 銀行貸出編」(前編後編)では原著の 3.4   Balance sheets of banks, monetary creation by banks, and interbank settlement のところをグラフモデルで表記してみました。

 まずこの図を見てください。

 この図は先日モズラーの「A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation 」という文章を精読した時に作った図をきれいに書き直したものです。元はこちらのエントリです。

  銀行貸出編 で扱った、X氏が銀行借り入れで自動車を購入する話はちょうどこの図のBに相当します。そして同書の 3.6 、”The technical details of central bank and treasury coordination: the case of the Fed” という箇所は A の場合の分析になっていると言えます。

 そして A は B より複雑です。

 それは政府支出が「税で賄われている」ことになっている場合と「国債で賄われている」ことになっている場合があるからなのですが、MMTが言っているのは「税も国債も、本質的には政府支出とは関係がない」ということです。

 なので 3.6 節の分析に入る前にこの本質をグラフモデルで確認しておくのが良いと思うわけです。

 モズラーの Soft currency economics 2 に出てくる例がちょうどいいので、それでやってみたいと思います。

政府支出の一般形(グラフモデル)

 先にSNSにアップした図がこちらです。

 政府支出は次の二通りの場合にとりあえず分類できるわけですが

  • 税で賄っているということになっている場合
  • 国債で賄っているということになっている場合

 このいずれのケースも「政府支出の一般形」と言うべき「形式」を含んでいます。

 その図がこちら。

 カンの良い読者の方は感じておられると思いますが、前回(X氏がディーラーから自動車を買う)の図とちょっと似ています。

 自動車を買うフローは結局はこんな感じになっていました。

 買い手が渡したIOUをぐるっと回って売り手が受け取るという形になっている。

 (考えてみたら当たり前のことです)

 だから政府が買い手になる場合も構造はまったく同じです。

 では、まず「税で賄っていつということになっている財政支出」を見てみます。

パターン1:「財政支出」+「徴税」の重ね合わせ

 これは上の「財政支出(一般形)」と下の「徴税の一般形」との重ね合わせであると分析できます。

 これを、上の「財政支出(一般形)」のグラフと重ね合わせるわけです。
 つまり…

 はい、結果は下のようになりますね。

 さて、もうひとパターンありました。

パターン2: 「財政支出」+「国債発行」の重ね合わせ

 国債で賄っていることになっている財政支出も、実際には「政府支出の一般形」と「国債発行の一般形」の重ね合わせになっていて、なんのことはない、この二つのオペレーションの間に本質的な関係はまったくないのです。

「国債発行の一般形」は次のようになります。

 えーと、これ、ひとめみて「これ何の意味があんの?」っていうオペレーションですね。。。

 だからこういうのやめましょうよ!という話に普段ならなるわけですが今日はグラフ表現の話なので、何はともあれ政府支出の一般形と重ねてみましょう。

 式はこうです。

 結果は、こう。

レイの現代貨幣理論3-6

 ”3.6 The technical details of central bank and treasury coordination: the case of the Fed” で説明されている話も基本的にはこれと同じです。

 財政支出と国債発行の「順番」を変えても(つまり財政支出をしたあとに国債を発行しても)結果は同じだとか、政府と中央銀行が一体の場合でも分離していても結果は同じだという話です。

 最終的にはいつもこうなる。

 本が手元にある人はご自分でいろいろ書てみてはいかがでしょうか。

 徴税はこんな風に書かれています。

 これは財務省と中央銀行を一体のものとして扱っている表現です。

 上の「徴税の一般形」に出てくる財務省と中央銀行をまとめて扱うとこの形になることを確認して本稿を終わりにしましょう。

 財務省と中央銀行を一体として把握して、その外部から分析する場合、内部でどんな取引があろうが、また、取引がなかろうが関係ないのです。

 このように分析の目的によって自由なスタイルが使えることがグラフ表現のとても大きなメリットのひとつです。

 引き続きどうぞよろしく!


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