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モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する⑦物価水準の源泉

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読するシリーズの第七回。

今回は III . The Source of the Price Level のところを扱います。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly 
解説編: ”indifference” って何だろう 
が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
(ここ)
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する 解説編: ”indifference” って何だろう

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読するシリーズの途中ですが、Ⅲに入る前の解説編です。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly 
解説編: ”indifference” って何だろう 
が挟まる←いまここ)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

貨幣量、あるいは財政支出額や財政赤字額が物価に影響する、という通念があるわけですが、これは逆で、価格が先に決まって、それらはそれ(価格)に従属するのだというのが革命的なポイントかなと 

民間の労働者の賃金は、公的雇用のそれに従属する。

(さらに…)

対話14 ストック(所有)はフロー(交換)に先立つよね

泣きそう


これが会計のレクチャーとかありえない

なぜありえないかを述べよ

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する⑥MMTのミクロ的基礎(その3)

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読するシリーズの第六回。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly (ここ)
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

前回シリーズ5では、 III. The Source of the Price Level の最後のところが宿題になった感じワンね。意味が取りにくい。

ここはわかってしまえば別にむつかしくないのですが、ここ、ほとんどの人が意味を取りそこなうと思います。
今までの先入観から自由になって素直に解釈することがまずできないからです。

(さらに…)

対話13「saving desire(貯蓄欲求)は政府行動の関数だ」ヘッドホン

>(元々は,前回の記事に続いて「101」その2?を書くつもりでいて,しかも書く内容としては限定を加えてはいなかったものの,例えば「機能的財政」(Functional Finance)という話を「関数(函数)」(function)の話と結びつけて書いてみようなどと思っていた。)

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する⑤MMTのミクロ的基礎(その2)

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読するシリーズの五回目。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly (ここ)
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

シリーズ② Introductionシリーズ③で I. The MMT Money Story を読み、シリーズ④では
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly
のところのタイトルの「モノポリー」を説明し、それからすこし先走って独特な「price level」観というかそのイメージを提示しました。

これワンね

あらゆる商品が含まれる 「price level」 のイメージ
(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する④MMTのミクロ的基礎(その1)

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読するシリーズの四回目。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly (ここ)
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

シリーズ② Introductionシリーズ③I. The MMT Money Story を読みました。
今回はこの部分。

II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly
II. MMTのミクロな基礎-公的独占としての通貨

この節は六つのパラグラフがあるので順を追って読みますがまずはタイトルから

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する③MMTの貨幣論

の続きです。

A Framework for the Analysis of the Price Level and Inflation という文章を頭から精読していきましょうというわけですが、次のような構成になっています。

きっかけ
Introduction 
I. The MMT Money Story (ここ)
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly 
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

いよいよ本文の精読に入ります。今回は I. The MMT Money Story のところを。

まず The MMT Money Story というタイトルですが、story を「物語」とするよりも、これこそ「論」というべきだと思いました。
というのは、円やドルのような「国定通貨」というものは、税制度と財政支出が一体となって運用されるシステムにおいて観測されるものだという把握をするからです。

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する② イントロダクション

前回に続き、この文章を頭から精読していきましょう。

https://docs.google.com/document/d/1RXiqZU0aT6i1xOqwTmNw-Y0h0H4FMuElTjc-A0GqlUw/edit

今回はイントロダクションの部分です。DeepLによる機械翻訳をぶら下げています。

きっかけ
Introduction (ここ)
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly 
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

Introduction

The purpose of this chapter is to present a framework for the analysis of the price level and inflation. MMT (Modern Monetary Theory) is currently the only school of economic thought that, in direct contrast to other schools of thought, specifically identifies and models both the source of the price level and the dynamics behind changes in the price level with MMT offering a unique understanding of inflation as academically defined as part of its general framework for analysis that applies to all currency regimes.
本章の目的は、物価水準とインフレの分析の枠組みを提示することである。MMT(現代通貨理論)は、他の学派とは対照的に、物価水準の源泉と物価水準の変化の背後にある力学の両方を具体的に特定しモデル化した、現在唯一の経済思想である。MMTは、すべての通貨体制に適用されるその分析のための一般的枠組みの一部として、学問的に定義したインフレに関する独自の理解を提供している。

I was asked to do a chapter on ‘inflation’ under the textbook definition which is ‘a continuous increase in the price level.’ However, under close examination this turns out to be elusive at best. At any point in time the price level is presumably both static and quantitatively undefinable. That’s why even the most sophisticated central bank research uses abstractions, the most familiar being the Consumer Price Index (CPI) which consists of selected goods and services designed to reflect a cost of living rather than ‘the price level.’ Nor can central banks determine a continuous rate of change of this abstraction. They can only tell you how the CPI has changed in the past, and they can attempt to forecast future changes. Even worse, they assume the source of the price level to be entirely historic, derived from an infinite regression into the past that, in theory, predates the birth of the universe.   
私は、「物価水準の継続的な上昇」という教科書的な定義の下で、「インフレ」の章を担当するよう依頼されました。しかし、よくよく調べてみると、これはよくてもつかみどころのないものであることがわかった。どの時点でも、物価水準は静的であり、定量的に定義できない。そのため、最も洗練された中央銀行の研究であっても、抽象的な表現を使っている。最も身近なものは消費者物価指数(CPI)で、これは「物価水準」ではなく、生活費を反映するように設計された特定の財やサービスから構成されている。また、中央銀行はこの抽象的な指数の連続的な変化率を決定することはできません。中央銀行ができるのは、CPIが過去にどのように変化したかを伝えることと、将来の変化を予測することだけである。さらに悪いことに、中央銀行は物価水準の源泉を、理論的には宇宙誕生以前の過去への無限後退に由来する、完全に歴史的なものであると想定しているのである。

うん、前回 I. The MMT Money Story を予習しておいてよかったかもですね

機械翻訳の日本語はこなれていないけれど、まあいいかな? 
ほかの経済学とは違うんですよ、というところはやはり資本論に似ていますね。

(さらに…)

モズラー(MMT発明者)による資本論のような物価水準・インフレ論を精読する①

総目次

きっかけ(ここ)
Introduction 
I. The MMT Money Story 
II. The MMT Micro Foundation- The Currency as a Public Monopoly 
解説編: ”indifference” って何だろう が挟まる)
III. The Source of the Price Level 
IV. Agents of the State 
V. The Determination of the Price Level 
VI. Inflation Dynamics 
VII. Interest Rates and Wages 
VIII. The Hierarchy of Demand 
IX. Conclusion 

きっかけは…

わーい(*^▽^*)
今日の勤務が終わったら、明日あさっては休みなので、読んでみます!

DeepLに通してサラッと読みました。
確かにこれはマルクスの前に確認すべき議論ですね。

どう感じたか、そのへんをもうちょっとくわしく?

貨幣価値と実物価値を結びつける議論だと感じたので

翌日

ここに機械翻訳(DeepL)を併記したものを置きました。

https://docs.google.com/document/d/1RXiqZU0aT6i1xOqwTmNw-Y0h0H4FMuElTjc-A0GqlUw/edit

”私はこれまでの著書で、プラス金利政策を「すでにお金を持っている人のためのベーシックインカム」と呼んできたが、そのように述べたところで、政治的な支持は全く得られない。”
このすでにお金を持っている人の為のベーシックインカムという言い回しは最近もモズラーさんがツイッターでおっしゃってましたね。

これに出てくるthe tax credits税額控除ってなんのことなんですか?

税額分供給される通貨、みたいなニュアンスですかね? 

イントロからじっくり読んでいきたいのだけど、まずは the tax credits から考えてみましょうか

イントロにつづく、I. The MMT Money Story という項は全体の話の前提条件なわけですが、シンプルなこれ

 1.Imposition of coercive tax liabilities
 2.State spending 
 3.Payment of taxes and purchase of state securities

これが骨格で、それをもう一度(agein)別の言葉で肉付けした説明をしちるわけですね(1~5)。

the tax credits という言葉は、肉付けした方の1と2で提示されています。

機械翻訳はこうなっている。
「税金の負債は、設計上、商品やサービスの売り手を生み出し、それと引き換えに適切な税額控除を求めますが、後者は定義上、失業者なのです。」

さて、シンプルバージョンの1~3は、肉付けバージョンの1~5の対応は後者の番号に´を付けて表記するとこういうことになりますか。

  1 が1´~2´
 2が3´
 3が4´~5´

ということで the tax credits という語は1の「強制的な税負担の賦課( Imposition of coercive tax liabilities )」とはどういうことか、の説明の中でまず現れます。

なるほど

1’「impose(課している)」のは誰に対してかと言えば、people (人々)ですがそれは明らかなので省略されています。
The state imposes tax liabilities (on the people) with penalties for non-payment.
と読むしかない。

続くここですが
The tax credits required for the payment of taxes are units of the state’s currency

(これ、tax だけでも意味は通るところですが)まずは語源から考えて、 credit はラテン語の「信じる」という意味の動詞 credere だから「税の信用」と解釈してみましょう。

「税の信用」了解です!

うーん

The teacher imposed a homework on the students.
先生は生徒たちに宿題を課した

このとき homeword credits とは何でしょうね?

宿題の信用??

この credits が 要請している(require している)条件とは何でしょうか?

宿題をすること?

学生に宿題をさせること

そして先生は後日証拠を求めますよね、たいていの場合(笑)

図工の宿題だったら絵とか造形物とか、国語や社会だったら文字で書かれたオブジェクトを制作することが要請されますよね。条件になっている、というか。

なんか分かったかも。税金をちゃんと払いましたよっていう証拠ですか??ちゃんと払ったからもう払わなくていい証拠みたいな。

そして当たり前なんですが、先生に証拠を示すことまでが宿題と言う制度の条件になっていますよね。

なるほど

同じように the tax credits が要請する(条件にしている)のは the payment of taxes 、税の「支払い」であり、それがその国の通貨建てであることであると。  

だから the tax credits は「(政府によって)税を課されている状態」のように解するといいだろう、というのが一つ。

もう一つは、簿記で貸方(あるいは貸方に書く)が credit 、借方(あるいは借方に書く)が debit なわけですが、この credit の意味ともシームレスにつながるんですよね。

人々はそのバランスシートの貸方(BSの右側つまり負債側)に「税債務」をいきなり書き込まれてしまうわけです。

調べてみました

では2’を見てみましょう

2. The tax liabilities, by design, create sellers of goods and services seeking the appropriate tax credits in exchange,

in exchange にも注目です。
「税を課されている状態」を解消しないと罰を受ける(1’)ので、それを避けるため、商品かサービスを売って、それらと交換にこの状態を解消するためのものを得ようとする。

そうすると、tax credits=税を課されている状態を解消するもの、罰を受けずに済むもの

罰を与えてますね

これがMMTの「基本モデル」になっているわけです。

通貨を作ってもまだモデルは動かない。税を課した上で、その通貨で支出することがモデルの始まりであると。

名刺バージョンもありますよね。これはクーポンバージョンですね。

いわばモズラーは「『通貨制度が動いている』とは1から3、あるいは1’から5’という意味ですね」と言っているわけ。分析哲学であり、資本論のマルクスにとても近いと思いますね。

なるほど~

”しかし経済学的な形態の分析には、顕微鏡も化学の試薬も役立たない。その代わりに抽象の能力を活用しなければならない。ブルジョア社会において経済的な細胞形態となるのは、労働生産物の商品形態あるいは商品の価値形態である。この学問に馴染みのない読者には、こうした分析がつまらない詮索にみえるかもしれない。たしかにこの分析はつまらない詮索ではある。しかし顕微鏡を使った解剖学がつまらない詮索にみえるとすればのことである。”(資本論第一版への序文)

マルクスが資本論でやったことも商品の”分析”から始まりますので、そういう意味でなるほどと思いました。

そうですね!

(*^▽^*)

そのへんでいろいろ書きたいことはあるのですが(「モデル」って何だろうとか)それは置いておいて、せっかくなので credit あるいはラテン語の credere と「借りる」「貸す」について少し分析してみようと思います。

上の宿題の例で、宿題という制度というのは成果物の制作が条件になっていましたが、信用にも同じような条件があると思うんですよね。

成果物がないなら宿題をやったとはみなされないように、何らかのブツが介在しない「信用」というものも考えにくい。

たとえば「AさんはBさんに傘を借りている(=BさんはAさんに傘を貸している)」という事態は、「BさんはAさんを信用している(AさんはBさんに信用されている)」を含んでいるし、それを返却したらその状態(信用している/されている)はとりあえず終わる、みたいな。

確かに、ちゃんと返してくれると信用するから貸すことができますものね。

返さなくてもいいなら贈与になりますし。

銀行の貸出も、利子コミコミの「返済」を期待して貸し手が借り手にクレジットする(預金を借手のの借方に記帳(debit)し、貸方に負債を記帳(credit)する)わけです。
これを credit creation、信用創造と言ってもべつにいいでしょう。でもジャパンの某界隈でよくある表現、「信用創造とは銀行貸出で預金が創造されるという意味である」みたいなよくある言い方はつまらないし、ただの言い換えじゃんって思うんですよね。何の意味があるのかさっぱりわからない。
そういうものの考え方ではMMTやマルクスはまるっきりわからないと思います。

銀行の貸し出しだけじゃなくて、信用創造は日常を観察すれば人に物を貸すときにだって起こっているし、特別なことではないということですか?

そう思いますし(傘を貸す、とか)そういう言葉を使いたいなら別にいいけれど、いったいなんで使っているの?という感じです。

そんなふうに独自の用法を定義したりする前に、その言葉がどのように使われているかの分析が先でないと議論が宙に浮くのではないでしょうか。マルクスが言ったように知識に先立つ知識が欠けている。

ちょっとケルトンの The Deficit Myth からも一つ。
borrowing という言葉が引用符で囲まれて ”borrowing” になっています。

よく「政府の “borrowing(借入)”」 っていうけれど、それってドルと債券の両替のことですよね、みたいな。

これは言葉の定義ではなく、実際に使われている言葉の分析なわけですよ。

bond(国債):利付の債権、USドル:利なしの債権
の交換

この挿絵は分かりやすいですね