ホーム » コラム » 放言コラム1:「資本論とMMT」その他

放言コラム1:「資本論とMMT」その他

ドイツの経済映画“ OECONOMIA” って見たことあります? 正しいかどうかは置いといて、むっちゃ面白いっすこれ。

石塚先生のツイートから知ったんですけど

今冒頭 15分ぐらい見たんですけど、銀行がPCで貸方、借方にぱぱっと数字打ち込んで信用創造するところが映ってて、「銀行は信用創造のために別に預金がいるわけじゃないんよ」的な事をペラペラとw

んでテロップにこれ。 すごく虚業っぽさが出てる

貸出がされるとき経済は成長している。経済が成長するとき貸出がなされている。

先日ちらっとだけ見た気がしますが面白かったですか。
よかったらまたリンクをw

虚業感、というよりも、語の入れ替えの話ぽくない?これ
資本論でいえば W-G と G-W のような往復運動の表現。

リンクは以下の2件のどっちかなんですが、IPかなんかで切られてて、ドイツ国内からじゃないと視聴できないみたいなんですよ。
https://zdf.de/filme/dokumentarfilm-in-3sat/oeconomia-104.html… https://3sat.de/film/dokumentarfilmzeit/oeconomia-100.html

ほんとだ、IPアドレスで切られちゃいますね

VPN接続でないと。。。

たぶんにゅん氏的にはツッコミが足りないところがあったり、序盤で出てくる中央銀行がマネーを創造できる、ってくだりが日本だと××界隈から曲解のターゲットになったりしそうなんですが、「そもそも『利益』ってどこから来てるの?」というのを結構しつこく色んな人に聞いて回ったり、これ「正常に」日本でも流れてほしいなーと。(ドイツ語が完全にわからないんでアレなんですけど)

ただ、ドイツ語の映画だからこそ昨年の作品にも関わらず反緊縮界隈に発掘されてないのかなって思うんですよね

映画の中で、ストリートに円卓を持ち込んで5人ぐらいの有識者で話す、って演出が入るんですが、その中で結構印象的な鋭い目をしたおばちゃんがいまして、Samirah Kenawiって人だったんですが
https://falschgeldsystem.de

ここのページでは「現代の贋金は銀行によって堂々と作られている」みたいな論調で、結構過激なおばちゃんだなーって。

英語圏でもいますよね、中央銀行制度が悪いというような

映画内では悪い、までは言ってないんですけど、「なんか変じゃね?」っていう感じの演出でしたね

でも、理屈としてはおおむね正しいように思いました。

そうですね。
その人のこの動画はいい感じ

G-W-G’

新たな利潤を生むためには新たなマネーが必要で、新たなマネーが民間領域に創出されるには反対側に負債が必要、みたいな。 したがって純粋にマネーを創出できるのは中央銀行のみ、って、日本だとここだけ切り取られて○○界隈にくそみそにされそう

映画の最後の方の締めは欧州の映画っぽく環境と絡めながらこんな感じになってるんですけど、にゅんさんこのフレーズどう思います?

これはその通りだよなと

楽しむ今日は永遠にやってこない

でしょ!!

Profite というより、Kapital、資本、かな

でも今のTwitterでは絶対受け入れられないなって。

そうかなあ。。。
だとするとそれは nyun が受け入れられないということw

直訳すると今日の利益は将来の負債、今日の負債は将来の利益、じゃないですか。

資本は、過去の剰余価値が積みあがったものなわけです

これ、単純に読み取って「緊縮財政脳かw」って言われるのがオチですよね

そう思う人はゼロではないけれど

ひっくり返すとこのフレーズのままになりますね。<資本は過去の利潤が積みあがったもの

それは会計的事実ですからね

いやー・・・この辺の話が伝わるの、マイノリティだと思うなぁ本邦では・・・
MMTって言ったらほとんど財政リフレだもの・・・

自分はこのメッセージ、「資本主義のシステムは地球の環境リソースを破壊するまで止まらないよ」=>「今日の利益を追求する事は将来の負荷の前借よ」って話に受け取ったんですけどね。
持続可能ではない、って話で・・・。

地球のリソースを持ち出すのは、斉藤公平ですね

その前に、永遠にやってこない明日に備えることによって、今日の生がスポイルされるという問題の方というか。

その辺がちょっと残念なところかなとは思いました。やっぱ環境問題に引きずられちゃうんですよね。
足りないピースはMMTだな、とも思ったんですよね。
ただ、環境問題は欧州ではメディアの喧伝もあってか割と喫緊の問題としてウケるみたいなんですよねー

ガチなマルキストにとっては、今更MMT?って感じに見えると思う。
そんなのあたりまえやん、みたいな。

マルキストってJGPって解放は提示してるんでしたっけ

協働組合、アソシエーション?

確かに通貨をどうするかは弱かったですね。
レーニンが悪いんです

負のイメージが巨大すぎましたね

自由意志に基づく、出入り自由な共同体というのがとても大事ですよね。

映画は、貨幣の面からの追及にとどまってて、「価値」とか「労働」については突っ込めてなかったんですよね
そういう共同体、結構技術の発展にも寄るところがあったんじゃないかと思いますよ
それこそITをうまく使えないかなとは思いますね。

だから人工的なJGPが出てくるというイメージ

自分のイメージは、JGPは資本主義への比較的穏健なセキュリティパッチかな

この週末に作った図

じゃーん

世界初!MMTを資本論の論理的連関図

IOUは資産であり負債、って事ですね
IOUとくっついてる商品A、B、Cってどんな商品をイメージしてます?

一つ一つの IOU は Ware (商品)なわけです

一つ一つの IOU は Ware 。。。
それは上の図で言う、貨幣とか預金とか、国債とか、そういうものって事ですかね

ですです

そうすると、ここ商品A、B、Cってなるとわかりにくくないですか?(わかるひとにはわかるのかな?)
IOUは商品たりえる、、、、のかな?

なるほど、補足して書き直した方がいいですね

どっちかというと、「商品」が「商われる」にあたって認識される「価値」とIOUの表層の一部がくっ付いてるイメージかなーって・・・
表層の一部、といったのは「商い」に供されるIOUが「ありがとう」などの広義のIOUではないんじゃないかなって。

やっぱ資本論をちゃんと読むべきですよw

間違ってる?www

というか、「商品」の分析が大事だなと

あ、そこは「ちゃんと」かどうかは解らないですけど読みました。

そらんじられるほどじゃないんですけど・・・

Der Reichtum der Gesellschaften, in welchen kapitalistische Produktionsweise herrscht, erscheint als eine “ungeheure Warensammlung”, die einzelne Ware als seine Elementarform. Unsere Untersuchung beginnt daher mit der Analyse der Ware.

この Ware に IOUは入るんですよ

あー、「商品」に引きずられてますね自分

だってお金も富だと思っているじゃないですか、人びとは

で、次の箇所
Die Ware ist zunächst ein äußerer Gegenstand, ein Ding, das durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art befriedigt. Die Natur dieser Bedürfnisse, ob sie z.B. dem Magen oder der Phantasie entspringen, ändert nichts an der Sache. Es handelt sich hier auch nicht darum, wie die Sache das menschliche Bedürfnis befriedigt, ob unmittelbar als Lebensmittel, d.h. als Gegenstand des Genusses, oder auf einem Umweg, als Produktionsmittel.

IOUはこの Ding なんです。英語のthing。

Waren ってか、Sachen

いや、Ding

Dinge の方がいいか
そうですね

これは重要です
カントの Ding an sich とか。

これ、Wareを「商品」と訳すの相当誤読の引力ありますよ

そう思います!

だからちゃんと読む、を始めたと言ってもいいかも

上に続く一文

Jedes nützliche Ding, wie Eisen, Papier usw., ist unter doppelten Gesichtspunkt zu betrachten, nach Qualität und Quantität.

Spielwarenとか言いますもんね。こっちは「雑貨」の「貨」みたいな感じかな。ニュアンス的には
うーん、IOUはDingeなのかなぁ・・・
だってWie Eisen, Papier uswじゃないっすよね
Quantitätの側面、って事かなぁ

Geld だと抽象概念の「お金」、IOUは、個別に現れるものだから
もいっかい貼るね。

個別に現れる、ってのは、取引関係(これも御幣あるけど)それぞれで色んな形態をとってる、って事ですか?

こっちの「全」をIOUと呼んでます?

この一つ一つはみんなそれぞれIOUですよね

そうですね・・・ただ、nützliche Dingなのかな?って所がひっかかるんですよね

確かにnützliche Dingを得るためにnützlicheではあるんですけど・・・

これ読んでくれましたかね?

今読みましたw

ぎゃふん

たぶんここの個別の物と抽象化されたものとの関係は解ってる気がします。
で、お金と商品との関係がちょっとこんがらがってたんですけど、
マルクスのここの文章

ob sie z.B. dem Magen oder der Phantasie entspringen, ändert nichts an der Sache. Es handelt sich hier auch nicht darum, wie die Sache das menschliche Bedürfnis befriedigt, ob unmittelbar als Lebensmittel, d.h. als Gegenstand des Genusses, oder auf einem Umweg, als Produktionsmittel.

これからすると、いわゆる「商品」(日常言語的な意味での)じゃなくても、想像力から湧き出て何かのニーズを満たせばWareなわけか。

そして使用価値がゼロであっても「問題ではない」わけですよ。
流動性選好を考えてもいいけれど、それを仮定しなくても現実に交換はなされているわけで。

IOUがDingだとして、その次の Qualität と Quantität から検討されうるのかな?というのも引っかかってたんですけど
でも確かに貨幣と株式は質的に違うし

そうそう!

量的な分析も可能ではありますね。

はい、言葉が違う。これが「Qualität の違い」です。

あ、えーと

スプレッドシートが存在しない時代に、スプレッドシート的思考をしていたのがヘーゲルやマルクスなんですよ。

Qualtät =質的な検討も、 Quantität=量的な検討も可能ですね、って話でした
Ware ⊃ Ding (Qualität und Quantität)って感じなのねー

スプレッドシートで言うと、行が質、列が量という感じ。

Ding = das durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art befriedigt.
スプレッドシートの例えは解るような解らないような・・・
つかスプレッドシート=>表計算=>量的なものに引きずられそう
これ、何気に「doppelten Gesichtspunkt zu betrachten」ってのもポイントですかね?

めっちゃポイントです。
が、その前にですね
Die Ware ist zunächst ein äußerer Gegenstand, ein Ding, das durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art befriedigt.

Ware はまず、ein äußerer Gegenstand である

zunächst も結構おもいっすね

観念論の世界
認識論というか

あー
Gegenstand が Objectになっちゃう
これはちゃう感じ

あってます!!!
ただ、object も語源を考えれば ob-ject だから。。。

Gegen ・ Standだから
自分と相対する存在するなにがしか、って感じイメージかな

文の構造の話でもあるんですよね

subject – object 関係

んー
でもそうするとäußerer (外界の)ってつける意味は・・・?
Subject に対する Objectだとすると、äußerer って要ります??
うーん、なるほど

Ding は間主観的に表れていますよね。フッサール的に言うと

ein äußerer Gegenstand -> ein Ding, das durch seine…って運びになってるのがポイントか・・・

そうそう!

あのねーにゅんさん
これは伝わらないw

www
おじさんは哲学的な人だからなー

要するに物体的な意味でのObjectじゃなくて
主体の外側にあるObjectで、ひとつのDing、das durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art befriedigt. って繋がりか

ですです

はいはい。

Ware(商品)はまず第一に自分の外側にある対象で、、、、ein Ding.

das durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art befriedigt….
あーめんどい

めんどいです

ドイツ語でわかれ!と言いたくなるw

Das Ding befriedigt durch seine Eigenschaften menschliche Bedürfnisse irgendeiner Art.

って事ですね、ここは・・・

楽しいなー

Das Ding が seine Eigenschaften をとおしてmenschliche Bedürfnisse を irgendeiner Art であれ befriedigt させる

めんどい!!

なるほど、ともあれこの特性に従えば貨幣もその特性をもってbefriedigen させるわけで、Ding でしかも主体の外にあるからWareで、つまりそれは資本主義社会における富として認識されうるWareの一部だと。

了解

\(^^)/

やっぱこれWare は商品じゃないなー
しいて言えば雑貨の貨かなー・・・一番感覚に近いのは・・・
じゃない、っていうか、わかりにくい・・・

このワーディングは経済学者やヘーゲルを踏まえているわけです。

労働が賃労働に引きずられちゃうようなもんで・・・・
Wareを商品って訳したのは合ってると思います??
ドイツ語で1語なのに2語にしたら意味変わりますよねぇ・・・?

そこは考えたけれど、「商品」しかないなあと。
言い換えるなら、総資産スプレッドシートの「項目」?みたいな。
ここは、やっぱ古典派の経済学者やヘーゲルの言葉を使わないと話が通らないんですよ。

まぁ、やたらと言い換える必要はないんですけど、日常言語と違うところはフォント変えるとか色変えるとかしないと誤解したまま突っ走りますね
特に商品と労働は2大誤読巨頭というか。

そうかもですね。
それまでの言論空間の中に資本論はあるわけで。

「ドイツ語の」ですよね

英語も含めていいと思います。
それを今のわれわれの感覚で単語を解釈してしまったら、意味がわかるわけがない。

でも・・英語もGegenstand が Object って出ちゃいますよ。。。対日本語より精度は高そうですけど
日本語はいい言葉なんですけどねー・・・

ともあれ、日本語のコンテキストに落とすにあたって、日常言語との用法の違いはビジュアル的にも解る方が良さげかなーって

だからいろいろ図を作りたいんです

ヘーゲルやマルクスは、イメージを印刷できなかったのだけど、今ならこうやっていたはず!みたいな表現が随所にあります。

そうですねぇ・・・
大事な試みだと思うんですよそういうの、すごく大事・・・
ただ、図解で示すことを知的に劣っているって解釈する向きが界隈には多そう

テキストは味が付きやすいって事がわかってる人めちゃ少ないですもんね・・
「言葉で(モデルで)論理的に説明できないとかwww」とか
そしてテキストを読み砕いていくのはひたすらめんどくさいし・・・
まぁその行きつく先が金ぴか本だったり妙なMMT本だったりするのかも

この大塚雄太先生良いこと言いますね

ほんとほんと

さて、すいません、深夜になってしまったので寝ます!!ありがとうございました。

こちらこそー


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です